法面のラス網とは?吹付け前に金網を張る理由と作業の流れ

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法面工事の説明で見かける「ラス網」は、斜面を覆う金網です。見た目から落石を受け止めるネットを想像するかもしれませんが、吹付工で使うラス網には別の役割があります。


ラス網は、モルタルやコンクリートなどを法面に吹き付ける前に設置する、下地・補強用の金網です。法面に固定してから材料を吹き付け、できた層のひび割れを分散し、剥がれを抑える役割を担います。網だけで斜面全体を支える工事ではありません。


なぜ先に網を張るのか、作業はどの順番で進むのか。初めて法面工事を調べる方に向けて、ラス網と落石対策のネットとの違いも含めて説明します。




ラス網は吹付材の下地・補強に使う金網

法面のモルタル・コンクリート吹付工では、斜面の表面を吹付材で覆います。その際に使うラス網は、吹付ける前に法面へ張る金網です。「ラス金網」と呼ばれることもあります。吹付けを終えると見えにくくなりますが、施工の途中では表面に広げられた網を確認できます。


役割を考えるときは、金網だけで地山を押さえ込むと捉えないことが大切です。斜面を保護するのは、地山の状態に合わせて設計された工事全体です。ラス網は、その中で吹付材を補強する材料として使われます。


広島市が掲載する法面用ラス金網の製品説明では、コンクリート吹付けの下地材として使い、硬化後の亀裂の分散や剥離防止に役立つとしています。これは掲載製品についての説明であり、すべての金網や工事で同じ性能を保証するものではありません。


参照:広島市「法面用ラス金網」


「網を張る」と聞くと完成した表面を想像しがちですが、ここでのラス網は吹付け前の工程にあります。施工後の表面を見ただけでは、どの材料がどのように配置されているかは分かりません。役割を理解するには、完成形より先に作業の順番を見ると整理しやすくなります。




なぜ吹付け前にラス網を張るのか

吹付けの後から金網を表面に置いても、吹付材の中で補強材として働かせることはできません。先に法面へ配置し、吹付け中に動かないよう固定しておくことで、吹付材と組み合わせた構造になります。「吹付けの前に張る」という順序そのものに意味があります。


モルタルやコンクリートは、吹き付けて終わりではなく、その後に硬化します。吹付材に生じ得る亀裂を一か所に集中させにくくし、剥がれを抑えることが、ラス網を入れる目的の一つです。ただし、網を使えばひび割れや剥離が絶対に起こらない、という意味ではありません。


金網の位置がずれたり、吹付けで動いたりすれば、想定された配置になりません。そのため、張る作業では単に斜面を覆うだけでなく、所定の位置に保たれているかまで確認します。必要な金網の種類や配置は工事ごとの設計図書に従います。


吹付工を含めた法面工事の種類も知りたい方へ。


法面工事の工法をまとめて読む




法面の準備から吹付けまでの作業の流れ

ラス網を使う吹付工の流れを大きく分けると、吹付け面を整える、金網を配置して固定する、吹付けを行う、という順番です。実際の材料や施工条件は工事によって変わるため、ここでは一つひとつの作業が何のためにあるかを見ていきます。



吹付け面の浮石や泥土を取り除く

最初に確認するのは、吹付材を受ける法面の状態です。表面に浮石や泥土などが残っていると、吹付材の付着を妨げる可能性があります。国土交通省の土木工事共通仕様書では、岩盤への吹付けに先立ち、ごみ、泥土、浮石などを除去することが示されています。


参照:国土交通省「土木工事共通仕様書 第14節 法面工(共通)」


この準備を飛ばして網だけを張っても、網の下にある吹付け面の問題は解消しません。吹付材と地山の間に何があるかを先に確かめることが、後の工程につながります。湧水が吹付けに影響する場合は、同仕様書でも設計図書に関して協議する扱いです。



ラス網を配置し、動かないよう固定する

吹付け面を整えた後、金網を法面に配置します。網同士をつなぐ箇所には重ね合わせがあり、吹付け中に網が動かないよう固定します。国土交通省の同仕様書は、補強用金網について、設計図書に示す仕上がり面からの間隔を確保し、吹付けなどで移動しないよう法面に固定することを求めています。


網を斜面いっぱいに広げたように見えても、端で途切れたり、重ねた部分がずれたりすれば、意図した配置と違ってしまいます。作業を理解するうえでは「張ったかどうか」だけでなく、「つなぎ目と固定状態はどうか」までが一組です。具体的な仕様はその工事の設計図書と指示によります。



固定を確認してから吹付ける

金網の配置を確認したら、設計された条件に沿ってモルタルやコンクリートを吹き付けます。吹付け中に網が動かないことに加え、吹付材の厚さを均等にすることも、同仕様書で示されている点です。吹付けが終われば金網は完成面の内側に入り、外からの見た目だけでは準備の良し悪しを判断しにくくなります。


参照:国土交通省「土木工事共通仕様書 第14節 法面工(共通)」


この流れは吹付工を理解するための一般的な説明です。ラス網を使わない工法もあり、吹付け前の処理や使う材料も現場条件で異なります。手順を覚えるときは、網の張付けだけを切り離さず、吹付け面の準備とその後の吹付けまでつなげて考えてください。




固定と重ね合わせを確認する理由

ラス網の作業で見落としやすいのは、金網を広げた見た目と、実際の固定状態が違うことです。法面には凹凸があり、網は平らな床に置くようには張れません。吹付けを受けても位置が変わらないか、つなぎ目が適切につながっているかを確認する必要があります。


国土交通省の仕様書では、補強用金網の仕上がり面からの間隔や継手の重ねについて規定しています。ただし、その仕様書にある数値を、発注者や工法が異なるすべての現場へそのまま当てはめることはできません。記事を読んで寸法だけを覚えるより、現場の設計図書で指定された配置を確認することが大切です。


斜面の上で材料を広げて固定する作業は、平地での作業と同じ感覚では進められません。網を押さえながらつなぎ目や位置を確かめる工程があり、足元や周囲にも注意が要ります。未経験の方にとっては、完成した吹付面だけでは見えない作業量を知る手掛かりになるでしょう。


吹付け前の準備が丁寧でも、浮石や湧水など施工の妨げになる状態が見つかれば、現場の条件に応じた確認が必要です。「網を張ればもう吹付けられる」と決めつけず、次の工程へ進める状態かを確かめることが、ラス網張りの仕事に含まれます。




ラス網と覆式ロックネットは目的が違う

ラス網とロックネットは、どちらも法面に張る「網」ですが、使う工事の目的が異なります。ラス網は、吹付材の下地・補強材として吹付け前に張ります。覆式ロックネットは、落石の危険がある斜面をネットで覆う工事に使います。


当社の事業にも、モルタル・コンクリート吹付工と、ネット工(覆式ロックネット工)があります。吹付工は斜面の表面を吹付材で保護し、覆式ロックネット工はワイヤロープと金網で斜面を覆って落石に対応する工法です。名前が似ていても「金網を張るなら同じ作業」とまとめることはできません。


ラス網を吹付け後に見えにくくなる補強材、覆式ロックネットを斜面を覆う落石対策のネット、と区別すると整理しやすくなります。どちらの工事が必要かは、斜面の状態や設計目的によって判断されます。ラス網だけを張ればロックネットの役割も果たす、という理解は避けてください。




法面工事の仕事を知りたい方へ

ラス網は、金網を張るだけで完成する工事ではありません。吹付け面を整え、網を所定の位置に固定し、その上で吹付けを進める。一つの作業が次の工程にどうつながるかを知ると、法面作業員の仕事を少し具体的に思い描けます。


当社は佐賀県唐津市を拠点に法面工事を手掛け、法面作業員を募集しています。未経験の方には社長や先輩の職人が指導します。現場で使う言葉を最初からすべて覚えている必要はありません。まずは工事の種類と作業の意味を知り、自分が取り組みたい仕事か考えてみてください。


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