鉄筋挿入工とは?斜面に鉄筋を入れる理由と法枠工・アンカー工との違い

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斜面に鉄筋を入れるのは、表面に穴を開けて固めるためだけではありません。「鉄筋挿入工(てっきんそうにゅうこう)」は、地中に比較的短い補強材を配置し、地盤と一緒に働かせて斜面の安定を高める工法です。地表から見えるのはプレートなどの頭部が中心で、補強の要は地中にあります。


当社の事業内容では「鉄筋挿入工(ロックボルト)」として紹介しています。道路脇の斜面で何をしている工事なのか、格子状の法枠やグラウンドアンカーと何が違うのかを、現場の工程とともに見ていきましょう。




鉄筋挿入工は地中の補強材で斜面を支える工法

雨や地盤の状態によって斜面の土や岩が動こうとするとき、表面を覆うだけでは十分でない場合があります。鉄筋挿入工では、地中に補強材を入れ、セメント系の注入材などで周囲の地盤と結び付けます。補強材の引張力を利用して、切土法面や斜面を補強する仕組みです。


基本構造は、地中の補強材、周囲の注入材、地表側の頭部、そして法枠などの法面工です。頭部のプレートとナットで地表側の構造につなぎ、地中と表面を一体として働かせます。鉄筋をただ差し込めば完成するわけではありません。


注入材には、補強材と地盤の間で力を伝え、補強材を保護する役割があります。頭部はその力を法枠などの表面の構造へつなぐ部分です。鉄筋だけを長くしたり、本数を増やしたりすれば必ずよいわけではありません。地盤の性質、想定するすべりの位置、表面の構造を合わせて設計します。


斜面防災対策技術協会は、一般的な補強材の長さを2~5mと説明しています。ただしこれは目安であり、一本の長さや本数を見た目だけで決めるものではありません。地盤の状況と設計に応じて検討します。


参照:斜面防災対策技術協会「鉄筋挿入工」




法枠工とアンカー工では、支える位置と力の使い方が違う

道路脇の格子状の枠は、法枠工による地表側の構造です。一方、鉄筋挿入工の補強材は地中に入ります。二つを併用すると、地中の補強材と表面の枠が連携します。法枠工だけ、鉄筋挿入工だけと一律に決めるのではなく、斜面に必要な機能に合わせて組み合わせるものです。


グラウンドアンカー工との大きな違いは、施工時に補強材へあらかじめ引っ張る力を与えるかどうか。鉄筋挿入工では通常、そのような緊張力を導入しません。アンカー工は地中の定着部を利用し、緊張力を与えて斜面を抑える方式です。どちらも「斜面に長いものを入れる工事」ですが、構造と働き方は同じではありません。


この違いを「短いものが鉄筋挿入工、長いものがアンカー工」と長さだけで見分けると、肝心の仕組みが抜けます。鉄筋挿入工では補強材を注入材で地盤に結び付け、斜面の変形に抵抗する力を利用します。グラウンドアンカー工では安定した地盤の定着部を利用し、施工時に緊張力を導入します。現場で工法名を聞いたときは、地中のどこに力を伝え、表面の何とつないでいるかを確認するのがよいでしょう。


当社は法枠工と鉄筋挿入工の両方を事業内容に掲載しています。法枠の交点に補強材の頭部が見える斜面もあり、目に見える格子と目に見えない地中の補強を分けて考えると、工事の目的がつかみやすくなります。


法面工事の工法全体を先に整理したい方へ。

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鉄筋挿入工の施工では何をするのか

施工の大まかな流れは、設計された位置に孔を開け、注入材と補強材を所定の方法で配置し、頭部を法面工につなぐというものです。注入材は地盤と補強材の間で力を伝える役割も担います。実際の注入と補強材の設置の順序や使う機械は、工法と現場の条件で異なります。



削孔では位置だけでなく地盤の状態を見る

削孔とは、補強材を入れるために地盤へ孔を開ける工程です。狙った方向や長さからずれれば、設計した場所に補強材が配置できません。掘り進めたときの土や岩の状態、孔が保てるかどうかも確認する必要があります。斜面上の作業場所が限られる場合は、機械の置き方や作業位置も施工条件に入ります。


孔を開ける機械も一種類ではありません。斜面上に設けた足場から使う機械と、地上側から施工する機械では、置き場所や届く範囲が違います。使う機械を先に決めてどの斜面にも当てはめるのではなく、地盤、斜面の高さ、機械を安全に設置できる場所に合わせて施工方法を選びます。



注入材・補強材・頭部を一体として仕上げる

補強材の周囲に注入材を行き渡らせ、地盤と結び付けます。地表側ではプレートとナットなどで頭部を処理し、法枠や受圧板などとつなぎます。外から見える金属の部品だけで強さが決まるわけではなく、孔の位置、地盤との結び付き、頭部の取り付けがそれぞれ関わります。


斜面防災対策技術協会の解説は、補強材・注入材・頭部・法面工の四つを基本構造として示しています。作業を順番の暗記で捉えるより、それぞれがどこに力を伝えるかを理解する方が、工程の意味をつかめます。


参照:斜面防災対策技術協会「切土補強土工法」




鉄筋挿入工が向く斜面と、単独では足りない場合

鉄筋挿入工は、急な切土法面や、比較的小規模な崩れが心配な斜面などで検討されます。当社の事業内容でも、比較的崩壊規模の小さい斜面に適用する工法として紹介しています。ただし「急な斜面なら必ず鉄筋を入れる」という意味ではありません。土や岩の性質、想定する崩れ方、必要な補強力によって選択は変わります。


大きな崩壊を想定する場合は、鉄筋挿入工だけでは必要な抑止力が足りないことがあります。斜面防災対策技術協会は、そのような場合にはグラウンドアンカー工などを別途検討する必要があると説明しています。工法名を知ることと、その場所に適用できると判断することは別です。


また、法枠との併用は「同じ斜面に二つの工事を重ねる」というだけではありません。法枠などの表面の構造と補強材の頭部をつなぎ、補強材の力を斜面全体へ伝えるための組み合わせです。表面が緑化されていても鉄筋挿入工を併用する場合があるため、完成後の見た目だけでは地中の工事を読み取れません。


斜面での削孔には、機械や材料を扱う負担に加え、足元、落石、作業位置への注意が伴います。地中の仕上がりを目で直接見通せないからこそ、位置や長さ、注入材と頭部の扱いを工程ごとに確認します。未経験で仕事を考える場合も、「鉄筋を打つだけ」という想像より、地盤を見ながら複数の工程をつなぐ作業として捉えるのが実際に近いでしょう。




斜面の地中を支える仕事に関心がある方へ

法面工事には、表面を覆う工法、格子状の枠を作る工法、地中へ補強材を入れる工法があります。鉄筋挿入工では、完成後には見えにくい部分を施工し、表面の構造と結び付けます。何をどこで支えているかを知ると、法面作業員の仕事の一つとして理解しやすくなります。


当社は佐賀県唐津市を拠点に、鉄筋挿入工と現場吹付法枠工などを手掛け、法面作業員を募集しています。未経験者には社長や先輩職人が指導する方針です。担当する工法や入社後の作業は現場・配属によって異なるため、募集要項を確認したうえで仕事内容を尋ねてください。


地中と斜面の表面の両方に関わる仕事を知りたい方は、現在の募集内容を確認できます。

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